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脂肪肝、脂肪性肝炎(MASH)の治療

代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)とは脂肪肝に加え、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症のいずれかを合併している疾患です。脂肪肝から炎症や繊維化を伴い肝硬変や肝がんなどに進行するリスクがある脂肪性肝炎がMASH(代謝機能障害関連脂肪性肝炎)です。腹部エコー検査にて脂肪肝は容易に診断できます。
当院では腹部エコー時に肝硬度:SWVを測定し、肝線維化の有無を検査しています。SWVが1.30m/s以上であればMASHであると考えられます。
脂肪肝の原因は遺伝子が関係するといわれています。日本人では肝細胞内の脂肪滴を分解するリパーゼ(PNPLA-3遺伝子)の働きが弱い人(スニップCG)が52%、非常に弱い人(スニップGG)が21%存在すると言われています。日本人は脂肪の代謝が悪い人が多いのです。少しの肥満でもMASHになる人が多いのです。
肝硬度の高い症例に当院では下記の治療を行っています。

1. 高中性脂肪血症合併群

ペマフィブラートまたはベザフィブラートを投与し、血中TG(トリグリセライド)を低下させ、脂肪代謝の落ちた肝臓の働きを改善します。当院と三重大学医学部附属病院消化器・肝臓内科との共同研究でペマフィブラート0.2mgを投与したMASLD132例のデータをヨーロッパの科学誌Frontiers in Medicine.2023.10:10730251に報告しています。GOT,GPT、γGTP、TGが有意に低下し、肝硬度SWVも有意に低下していました。

2. 糖尿病合併群

減量効果のある薬を投与します。糖分を尿中に排泄させる薬剤SGLT2阻害剤、消化管の運動を抑制し、食欲中枢も抑制するGLP1製剤(内服注射週1回皮下注チルゼパチド、内服セマグルチド)を投与しています。

3. フェリチン(肝内鉄分)高値、多血症群

鉄分を体外に排泄する瀉血療法(120mL~150mL)を月に1回行います。鉄制限食の栄養指導を行います。GPT値が50U/L未満に低下したら献血400mLをお勧めしています。

4. 単純性肥満群

痩身薬(マジンドール)、やせる漢方薬防風通聖散を投与しています。炭水化物ダイエット、有酸素運動などの栄養指導も行っています。

肥満・糖尿病の治療

肥満指数BMI35以上の高度肥満にはマジンドールの投与と栄養指導を行っており、1年間で10例の実績があります。

BMI25~35の中等度肥満には痩せる漢方薬:防風通聖散7.5g/日または27錠/日を処方し、炭水化物ダイエット、水ダイエットの栄養指導を行っており1年間で123例の実績があります。

糖尿病は肥満があれば糖を尿中にすてる内服薬(SGIT2阻害薬)を用いて、平均4.5kg減量されています。1年間で42例の実績があります。肝障害合併の糖尿病ではピオグリタゾンで加療し、非肥満糖尿病患者にはDPP4阻害薬、メトホルミン、グリニド薬を用い、糖尿病の栄養指導も行っています。インスリン分泌の悪い患者様にはインスリン療法(低血糖の少ない時効性のグラルギン注射)も行っています。

C型肝炎の治療


C型肝炎ウイルス粒子の写真
金コロイド免疫電顕像
(1994年 院長らが撮影)

直接C型肝炎ウイルスに効果がある抗ウイルス薬が開発されています。治療期間は12週間で、治癒率は95%~99%です。GPT31U/L以上でウイルス陽性の患者様とGPTが正常でも血小板(PLT)15万/1μL未満でウイルス陽性の患者様が治療対象となります。

当院での実績

グループ1型(1b型)の治療レジパスビル・ソホスブビル配合錠24例(治癒率100%)
オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル配合錠2例投与中
グループ2型(IIa,IIb型)の治療、ソホスビブル+レベトールカプセル17例(治癒率100%)
副作用も軽微なもののみで安心して内服できます。
高額な薬価(387~460万円)ですが肝炎助成制度を利用しますと月額1~2万円で治療できます。

B型肝炎の治療

B型肝炎ウイルスに効果がある抗ウイルス薬が開発されています。DNAウイルスですので完全治癒はしません。治療期間はHBs抗原量が低下もしくは消失までの長期間です。
GPT31U/L以上でウイルス量4.0Log/mL以上の患者が治療対象となります。

当院での実績

エンテカビル錠62例で耐性変異出現率0%です。テノホビル錠11例で耐性ウイルス出現0%です。前例経過良好です。薬価のやや高額(月額2~3万)ですが肝炎助成制度を利用しますと月額1~2万円で治療できます。

鉄過剰(ヘモクロマトーシス)の治療

鉄過剰(血性フェリチン値高値)で肝障害・多血症を伴う遺伝性の病気です。鉄分を対外に出す瀉血療法(120ml~200ml)を月に1~2回行います。肝機能が正常化するかフェチリン値が50ng/mLいかになれば瀉血を中止し、以降は鉄制限食で経過観察します。

銅過剰(ウイルソン病)の治療

血清セルロプラスミン(銅を運ぶ蛋白)が低値となり、肝臓に銅が沈着し、肝障害を来す遺伝性の病気です。ウルソ錠の内服と銅制限食の治療を行っています。進行例にはDペニシラミンの治療も必要となります。

ピロリ菌の除菌療法

胃癌・胃潰瘍の原因菌です。内服治療1週間で新薬ボノプラザンが使用可能となり、一次除菌の治癒率は95%に向上しました。一次除菌が失敗した時に行う、二次除菌の治癒率は99%です。1年間に約95例の治療実績があります。

逆流性食道炎の治療

プロトンポンプ阻害薬(ボノプラザン、エソメプラゾール、ランソプラゾール)の内服療法がメインです。

機能性ディスペプシアの治療

胃カメラ検査を受けて胃癌、胃潰瘍やヘリコバクターピロリ胃炎がなく、胃もたれ、胸やけ、腹痛などの症状がある病態を機能性ディスペプシアと言います。ストレスを減らし、快眠、快食、快便につとめます。薬としてはアコチアミド、モラプリト、ドンペリドン、漢方薬(六君子湯)などがあり、個人に合う薬を探し処方いたします。

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